デジタル社会の疲れ目対策と漢方
スマホやパソコンの普及につれて、インターネットやSNSの利用によりデジタル画面を見る機会が増えています。また近頃は子供も学校でタブレット端末の導入やオンライン授業により目を酷使するようになっています。目の疲れや近視が進みやすい状況になっています。
視力はいったん悪くなるとなかなか元に戻せません。特に子供の場合、近視の進行が速いです。大人も近視が進むといわれています。日常生活の中で気を付けていきたいことです。
私自身(岡北)のことで恐縮ですが、中学1年の頃の視力は1.0以上ありました。中学2年の頃、眼鏡をかけることにあこがれ、意識的に目を悪くして近視になってしまったという苦い経験があります。気が付いたときにはもう視力の低下が進んでいました。その結果、コンタクトレンズや眼鏡がないと不自由な生活になり、雨の日や寒暖差のある場所に行った時に眼鏡が曇る・・という不便な思いをしています。
視覚から全情報の9割を得るといわれています。生涯を通して使い続けるものだからこそ、目を大切にして過ごしたいです。
スマホや、タブレット端末の画面から目を守るための対策として、「20-20-20」ルールがあります。これは、米国眼科会議が提唱しているもので、連続して20分デジタル端末画面を見たり、平面の文章を読んだりなどすれば20フィート(6m)離れたところを20秒間眺めるという決め事で、30㎝以内の近見作業を意識的に減じる方策です。
目の健康啓発のために作成された「ギガッ子デジたん! 活用マニュアル」日本眼科医会(企画・制作)によると、デジタル画面や読書などの近見作業をする場合、目と画面などの距離は30㎝以上離すことが大事で、連続して見る、読むのは30分までにすることを提唱しています。30分経ったら、一度それらから目を離して、20秒以上窓から外の景色を見たり、肩甲骨のまわりの筋肉を伸ばすストレッチ体操をしたりして目を休ませると良いですね。遠くを見ることで寄り目やピントを合わせる力が要らなくなります。理想としては調節力が「ゼロ」に近い「窓越しに見えるもの」を選ぶとよいでしょう。
屋内の場合は、視線を外し、「2m-数m先のもの」であれば、寄り目にする力をほとんど使わず、また調節力も少しは残りますが30cmと比較してその力はわずかで済みます。
また、日陰でよいので、太陽光を1日2時間浴びると近視の抑制に効果があるそうです。
夜の風呂上り以降はスマホやパソコン画面を見ないようにすることも大事です。デジタル画面の多くは強い光を出すために、入眠を促すメラトニンというホルモンの分泌が阻害されるそうです。
カウンセリングの際、お客様から「ふとんの中で寝落ちするまでスマホ画面を見ている」と伺うことがあります。外見上眠っていても、「夜間に夢をよく見て寝た気がしない」、「日中疲れやすい」という場合、充分眠れていないかもしれません。
書籍「眼が良くなる 10の眼トレ」 眼科医・医学博士 平松類ら(著)によると、睡眠不足だと、目の毛様体筋が疲労し、ピントの調節機能が落ちるそうです。睡眠不足が続くと、それだけで目が悪くなる危険性があると書かれています。
疲れ目、ドライアイ、充血など目の症状に用いる漢方薬は、杞菊妙見丸(こぎくみょうけんがん・第2類医薬品)、洗肝明目湯(せんかんめいもくとう・第2類医薬品)、滋腎明目湯(じじんめいもくとう・第2類医薬品)があります。肩こりのある場合には、風治散(ふうじさん・第2類医薬品)を補助で用いることもあります。症状に応じて使い分けをします。
個別にカウンセリングを希望される方は、事前にご予約の上でご相談ください。
参考
「ギガッ子デジたん! 活用マニュアル」日本眼科医会(企画・制作)
書籍「眼が良くなる 10の眼トレ」 眼科医・医学博士 平松類ら(著)