気象病(寒暖差疲労)にお勧めの過ごし方
春先や秋から冬へと向かう頃、衣替えをする動植物が自然界にあるのと同じように、私たちの体の中でも新しい変化を起こしています。
気温差の大きな時に現れる体の不調を「寒暖差疲労」と呼びます。寒暖差疲労は気象病のひとつですが、気圧や湿度の変化による不調と比べると、寒暖差によって冷えの症状が強く現れるのが特徴です。頭痛や肩こり、めまい、疲労、食欲不振など多岐にわたる症状が現れます。
寒暖差疲労の原因は、気温差によって自律神経の切り替えがうまくできないことから起こるそうです。もともと私たちの体は、36-37℃に体温を維持するようにできています。暖かい日は、自律神経の副交感神経が働いて血管を広げ、筋肉を緩めて体温を下げます。その一方で、寒い日は交感神経が働いて血管を収縮し、筋肉を縮めることで、体温を上げようとします。
この血管や筋肉の拡張と収縮を調節しているのが、自律神経です。自律神経は、内臓の働きや血液の流れなど、生命を維持するための機能を司っています。日ごとの気温差が大きくなると、この自律神経が過剰に働いて、疲労につながりやすくなります。そして体内のエネルギーを過剰に消費されることで、冷えの症状が強くあらわれることが特徴です。
寒暖差疲労は、10-50代の女性に多くみられるそうです。生理周期や更年期により女性ホルモンの分泌量が変動をするためであると考えられています。
寒暖差疲労を軽くするための過ごし方について。まず首や肩に力が入り過ぎていないか点検しましょう。猫背や肩よりあごが前に突き出る姿勢(ストレートネック、いわゆる「スマホ首」)が習慣になっていて、体にゆがみのある人は、寒暖差疲労をはじめとした気象病による不調を感じている人が多いようです。(参考書籍:気象病ハンドブック 久手堅司(著)、「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本 佐藤純(著))
これまで私(岡北)がお客様に対応させていただいた経験では、日頃歯を強くかみしめる習慣のある方に年中を通して首・肩こりが見られ、時に目の疲れ・頭痛の現われることが多いです。姿勢が悪いなと感じたら、その都度、肩の力を抜いてまっすぐの姿勢に正しましょう。そして一日のうちに何度か、鏡の前で腕を上に上げる体操(背伸び)をお勧めします。肩の筋肉が上へ引っ張られるので筋肉がほぐれるのを感じます。
東洋医学では、春は「肝(血液、自律神経、目、筋肉)」の働きが活発になるとしています。冬の間、代謝が低下していて、体の中に老廃物が溜まりやすくなっています。春は、代謝が活発になりますので、体の外にしっかりと老廃物を出すようにすることで、心身共に元気に過ごすことが出来ます。人間にとって食べることと同様、排泄も快く感じることです。汗を出すことや、残便感ないお通じがあると爽快です。「肝」に働いて、解毒・代謝を良くする季節の食材は、セロリ、なずな、ほうれんそう、ごぼう、うど、たけのこなどです。
気象による体調の変化や繰り返す不調に漢方薬がお役に立ちます。一般的には、気象病に「五苓散」が効果があります。その他に、頭痛や疲労、眠気、胃痛、めまいなどの様々な不調によい漢方薬があります。症状と体質をチェックした上で、漢方の選薬の他、生活背景に合わせた養生法を個別にお伝えしています。相談(選薬のためのカウンセリング)を希望される方は、ご予約の上で気軽にお越しください。