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野菜や果物を食べることと、果物ジュースを飲むことは同じですか?

 初回カウンセリングの際、お客様に当日と前日の食事内容を伺っています。時々、朝食のかわりに、100%果物ジュースを挙げる方がいらっしゃいます。朝、食べる時間がとれないことが理由として言えます。

 果物や野菜を食べることと、果物ジュースを飲むこととでは、摂る成分が似ているように見えても、健康への影響が全然違うことが分かっています。

 書籍「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」を書いたカルフォルニア大学ロサンゼルス校 助教授・医師 津川友介氏によると、野菜や果物を(1日量400gまで)多く食べれば食べるほど、全死亡率(原因にかかわらず死亡する確率)が減少するという、エビデンスがある(いくつかの研究によって効果が確かめられている)ことを紹介しています。また、果物を食べている人は、糖尿病リスクが低いそうです。糖尿病リスクが低いとは、糖尿病を予防する効果を意味します。
一方で、果物ジュースを多く飲むこと(1週間あたりコップ3杯分)で、糖尿病リスクが8%高くなることが分かっています。

 果物ジュースで糖尿病リスクが高くなる理由として、加工中に食物繊維が取り除かれるからではないか、と考えられています。それでは野菜ジュースを飲むのはいいのかというと、健康に良いというエビデンスはまだ出ていないそうです。津川教授は野菜や果物を食材として食べることが体に良いと述べています。

成分表示を見て、「濃縮果汁還元」、「ピューレ」と表示されていたら、加工前の野菜や果物とは別物だと考えた方がいいということです。

 これはわたしの意見です、ジュースの利点があるとしたら、いろいろな種類の食材を一度に摂取できることです。自分でジュースを作って飲む場合、作った後すぐに飲むこと、一緒に出てきた食物繊維を廃棄せず一緒に食べることが大事です。さらになるべく酵素をこわさないように低温で絞り、飲むときにはお腹を冷やさないよう気を付けることも大切だと考えます。

 糖質について。糖質を摂取すると血糖値が上がります。砂糖(スクロース)の場合、多く摂ると急激に血糖値を上げます。血糖値が急上昇すると、インスリンがたくさん分泌されるため、血糖値が急降下します。このことが空腹でなくとも、甘い食べ物をもっと欲しくなる理由の一つで、砂糖には、中毒性があると言われています。

 ところが果糖(フルクトース)は、砂糖ほどの血糖値を上げる作用がありません。砂糖やブドウ糖よりも甘味が強く、その甘さは砂糖を100とすると、果糖は120-170,ブドウ糖は65-80とされます。果糖は果物やハチミツに多く含まれます。
果糖を摂取すると、大部分を肝臓で代謝されて脂肪に転換されます。そのため摂り過ぎると、脂肪肝、非アルコール性の肝障害を起こす要因となります。(参考:書籍「炎症は万病の元」金子義保(著))

 このことからも果物ジュースを飲むと、果物を食べる時と比べて果糖の摂取量がかなり増えることになるので注意です。
※果糖は1日50g程度の摂取なら問題なく、摂取を控える必要はないと言われています。(Nutr Metab.2010; 7:82より)

 その一方で、スーパーなどで売られているお菓子やパンの原材料名に、フルクトースコーンシロップ(異性化糖:果糖ブドウ糖液糖)の表示をよく目にします。清涼飲料水、アイスクリーム、プリン、クッキー、ジャム、かき氷の蜜などに入っています。

 代表的な異性化糖は、果糖55%、ブドウ糖45%で構成されています。甘みは砂糖よりも強く、価格は砂糖の70%ほどと安価だそうです。果物から作られたものではなく、主にとうもろこしから作られています。異性化糖中のブドウ糖により血糖値を上げ、果糖により、肝臓で代謝され脂肪に変わるので、こちらもとりすぎはよくありません。

以上、野菜や果物を食べることと、果物ジュースを飲むことの違いを知っていただきたくて、今回ご紹介しました。

2023年5月12日