晩夏から秋かけて、元気に過ごすための養生法
晩夏から秋かけて、元気に過ごすための養生(手当て、セルフケア)について書きます。この頃に現れやすい症状は、食欲不振、下痢、疲労、集中力の低下、手足のだるさ、立ちくらみ、ドキドキしやすいなどといったことです。寝苦しい季節ではありますが、寝室を涼しくして質の良い睡眠をとることが大切です。そして冷たい飲食物を摂り過ぎ・エアコンにあたり過ぎを避け、こまめに室温調節をして、入浴時に湯船に浸かることができているかを点検します。
ご来店の方に詳しく話を伺うと、「夏のお風呂は家族そろってシャワーを浴びるだけです」というご家庭もありますが、夏にぬるめの湯に数分浸かるだけでも、体の局所の冷えが和らいで、1日の疲れがとれやすくなります。そして睡眠の質の改善が期待できます。夏の疲れの予防や解消をしたいがまだ実行できていない方はぜひ一度取り入れてみてください。
また日本の夏は、高温多湿なので、湿邪(しつじゃ;体にとって余分な水が溜まる)による脾虚(ひきょ;消化器の機能の弱り)が多いです。夏を迎えてから食欲不振や下痢、つかえを強く感じる場合は、水の摂り過ぎを控えましょう。冷たい水を、一気飲みするのではなく、冷たくない水をこまめにちびちび飲みして水分補給します。
その一方で、暑熱(夏の暑さ)が原因の場合は、過剰な熱が体にこもり、微熱、体のほてり、頭痛、吐き気、疲労が現れます。肉体疲労や激しいスポーツなどで起こる日射病、熱射病です。漢方では、清暑益気湯、生脈散、牛黄清心元などを用います。
秋になると、空気が乾燥して、呼吸器の働きに影響を受けやすくなります。今から体を潤す働きのある食材を摂ることで、「陰(いん)」を補い、体の内側からの対策をしましょう。お勧めの食材は、しじみ、パイナップル、梨、はちみつ、れんこんです。
参考書籍:NHKきょうの健康 2016.8
薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖 監修 喩静、植木もも子(監修)