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便秘 出す力を高めると元気に(東洋医学的視点から)

 昔から快食、快眠、快便の3つがそろっていることが健康のバロメーターである、と言われています。便秘は東洋医学では体の健康状態を示す重要なサインとされています。

 毎回、気持ちよくお通じが出ていますか?便がしっかりと出て、排便後に、便が残った感覚がない時、すっきりした気持ちになりますね。便が気持ちよく出ると(=快便)、老廃物を体外に出すことですので、それだけ体が元気に活動できるようになるでしょう。

 東洋医学(中医学)では、便秘の原因には大きく分けて3つのタイプがあるとしています。
一つ目は体内に「熱」がこもり、便が乾燥する「胃熱」によるものです。食べすぎや辛い物の過食により悪化します。

二つ目は、睡眠不足や過労による「血虚(けっきょ:血液を含む栄養物質の不足)」「陰虚(いんきょ:水分が不足している状態)」によるものです。気(元気の気、活動のためのエネルギー)の巡りの底力が低下することによるものです。その結果、体に熱がこもって乾燥しやすくなり、大便が腸の中に停滞している間に固くなりやすいです。

三つ目は旅行などの環境の変化や精神的疲労を感じて起こる「気滞(きたい:気が体の中に滞っている状態)」によるものです。

 対策として、体全体の気の巡りを回復させることで「胃気」の巡りを順調にすることです。過食や辛い食べ物の摂取を控え、体の内側を冷やさないようにしましょう。冷たい飲食物や体を冷やす性質の食材(夏野菜、生ものなど)を摂り過ぎると、最初に冷やすのは「胃腸」です。時折、朝起きた時に、冷水を飲む習慣がある方がいますが、冷たい水を飲むことも内臓を冷やします。最初のうちは、下痢便になることが多く、お腹がゴロゴロし、腸の働きは活発になります。しかし、このことが繰り返し続くと胃の気を冷やし、気が滞り、胃腸の働きは停滞して、便が出にくくなります。ですから、冷たい飲食物の摂取をなるべく少なくして、体の内側の保温に努めましょう。

 通常は便が直腸にたまると、便意を起こすセンサーが働いて、「トイレに行きたい」と便意を感じて自然なお通じが出ます。しかし、例えば家族や職場などトイレを使う時間が同じになるなどして、便意を感じても排便に行かずに我慢することを何度も繰り返していると、「直腸の知覚の衰え」が起こり、便意を感じにくくなってしまいます。ほんのわずかな便意でも催したら、トイレに行くのが理想です。通常、朝食後に便意を感じる人が多いので、朝食後15分から1時間ゆっくりと過ごして「便意を待つ」ことも効果的です。

 慢性的な便秘の症状として、お腹の張りや、痔、体臭が強くなる、肌荒れ(ニキビ、吹き出物、肌のくすみ)、頭痛などが起こりやすくなります。
近年の研究により、便秘は「慢性腎臓病の発症率上昇」「心筋梗塞や脳卒中の増加」などにも影響することが分かってきました(※)。

 バナナ状やソフトクリーム状、ソーセージ状の便がいきまずに出るのが理想の便の状態です。便は腸からのお便りです。排便後に毎回チェックしたいですね。

参考書籍、資料
(※)NHK今日の健康 2024.2
読体術 病気・診断編 仙頭正四郎(著)
時事メディカル 2023/06/18 05:00 記事

2024年7月5日