春の過ごし方 冬に溜めた老廃物を出す
春は中国医学で「肝(かん)」の季節とされ、体内のデトックス(老廃物を出すこと)が自然と促進される時期です。五行学説では、春は「木」に属し、「肝」と特に深いつながりがあります。「肝」は気血の巡りを助け、毒素の排出をサポートする働きがあると考えられています。
※ 五行学説については、こちら→ (前回の記事)中国医学と五行(ごぎょう)
春は、「肝」をケアすることで、心身のバランスを整えるのが中医学の知恵です。
■食生活: 「肝」の働きを助ける食べ物:香りのよいもの。解毒を助けるもの。胃腸の働きを良くするもの。いずれも旬にとれるものが良いです。
〇香りの良い食材 セロリ、みつば、パセリ、春菊、かんきつ類 など
〇疲れやすい、胃腸が弱いなど「気虚(ききょ)」にお勧めの食材 消化の良い鶏肉や鯛など
〇「肝」に働きかけ、解毒代謝を促進する食材 セロリ、ほうれんそう、ゴボウ、ウド、タケノコなど
■リラックス: ストレスは「肝」に負担をかけるため、自然散策や歌を歌うことなどで気を巡らせる時間を作りましょう。
■適度な運動: 軽いストレッチやウォーキングで身体を動かすことで、気血(きけつ:元気の気と、養分を含む血液)の流れがスムーズになります。
この機会に心身の「デトックス」を意識してみてはいかがでしょうか?(岡北)
中国医学と五行(ごぎょう)
中国に古くから伝わる考え方、哲学の一つに、五行学説があります。
五行学説は、宇宙に存在するすべての事物・事象を「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)」の五つの要素に分類し、それらの相互関係を通じて解釈する理論です。この学説は、臓腑(内臓)の働きや病理(病気の原因)の解釈にも応用され、人体のバランスを理解する上で重要な役割を果たします。例えば、五行(木・火・土・金・水)は五臓「肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)」や五季(春・夏・梅雨、季節のはざま・秋・冬)に対応し、それぞれが相生(助け合う)や相克(抑制し合う)という関係で結びついています。
この五行学説は古代中国の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」に記され、中国医学(漢方医学)の基礎として現在も使われています。
五行という言葉になじみがなくても、「五臓六腑(ごぞうろっぷ)にしみわたる」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。例えば、冷たいビールを一口飲んで「ああ、五臓六腑にしみわたる!」と声を上げる人もいますよね。この言葉は、五行の五臓に由来していると言われています。おいしい飲み物や食べ物を口にした際に、その感動が内臓全体、そして全身に染み渡るような感覚を表現しています。
五行学説で、宇宙に存在するすべての事物・事象を説明するということに、理屈っぽく、こじつけに感じる人もいると思います。しかし中国医学を理解する上では、五行説は基礎となりますし、紀元前の昔に考えられているのに、体系的、かつ理論的にまとめられています。黄帝内経を著した古代の中国の作者に、頭が下がる思いです。(岡北)
神経疲労が多くて、体が疲れやすい方へ 元気になる食べ物・過ごし方
寒さが少しずつ和らいで雨の降ることが続いています。暖かい陽気の後に、気温が下がることもあります。
つい先日、定期的に連絡下さっているお客様から相談があり、「体を温めるように気を付けているけれども、今、体が芯から冷えて温まってこないし、元気が出ない」とおっしゃっていました。
気温が上がったり下がったりを繰り返す中で、気温が下がった後、再び体温を上げて維持することに体力を使っているのでしょう。私のこれまで受け持ってきた健康相談の経験から、職場や家族など周囲の人に神経を遣うことが多い人は、肉体的な疲れも出てきやすい、と感じています。
東洋医学(中医学)では、気は、元気の気で、活動エネルギーの元であり、体を温める作用があるとしています。普段から、神経を使い、気をたくさん消費していることで、目には見えませんが、気の貯えが少なくなり、活動量は多くなくても、冷えやすく、心身もまた疲れやすいのだと思います。その結果、寒暖差があって元気が出ないのでしょう。
春の神経疲労への養生法は、体温を衣服で調節すること、体の内側からも温めて、血流を良くすることです。また、胃腸を整えておくことも、(体温調節に働く)自律神経の働きを良くすることに役立ちます。食べ物から気(栄養物)を受け取っているので、消化吸収の働きを良くしておくことが大事です。
胃腸の働きが弱っている場合は、他の症状を改善させることよりも胃腸を整えることを優先して考えましょう。近年、胃脳相関、腸脳相関があることが医学的に分かっていて、消化器の働きと精神活動、脳の神経の作用が互いにコミュニケーションを取り合っていることが注目されています。
春のお勧めの食材(食養生);
いらいらしやすい、気持ちが落ち込む、感情が乱れやすい場合: シソ、春菊、セロリ、三つ葉、かんきつ類(レモン、オレンジ)
よく眠れない場合、血を作る食べ物: アサリ、ナツメ
胃の調子が悪い場合: 豆類、じゃがいも、鶏肉、キャベツ
春のお勧めの過ごし方(生活養生);
日光浴、軽めの運動、湯船に浸かること、深い呼吸を心がけることです。
これらをまず出来ることから取り入れて、少しずつでいいので続けてみてください。
一般的に、胃腸の働きを整えて気を補う目的で用いる漢方薬は、補中益気湯、又は 帰脾湯(きひとう)、香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)など。
いらいら、不安、不眠には、香蘇散(こうそさん)、又は 逍遥散(しょうようさん)、芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)などです。
けやき堂薬局では、普段から自然薬や漢方で自然治癒力を上げておく体つくりをお勧めしています。そうしておくと多少、気などを消耗することがあっても、回復するのが早く、症状を改善する漢方を後から取り入れた場合も、少量で効果があらわれるでしょう。(例えば、春の頭が覆いかぶさるときにのむ、香蘇散など)
健康寿命を延ばしたい方、体調不良をお感じの方など、お気軽にご相談ください。
慢性的な症状の方は、まずご予約をお願いいたします。
カウンセリングで丁寧にお話を伺い、必要に応じて選薬いたします。(岡北)
公開日:3月7日
自然治癒力を高める
暦の上では春になりましたが、全国的に寒さが厳しいですね。寒さが緩んでいる日も、気温差が大きいので暖かい服装で、外出をしましょう。体の内側から体を温める食材を摂ったり、漢方を飲んだりすることで陽の気(体を温めるエネルギー)を守ることが出来ます。寒邪を発散させ、体を温める食材には、にら、ねぎ、しょうが、とうがらし、シナモン、さんしょう、玉ねぎ、よもぎなどです。
私たちの体には恒常性が備わっています。恒常性と自然治癒力は、どちらも体の健康を保つための重要な仕組みですが、異なる役割を持っています。
恒常性は、体を一定の安定している状態にまで保とうとする機能のことです。血圧や血糖値、体温などが挙げられ、自律神経(意思で制御できない)、ホルモンの調整、体性神経(運動機能や反射など、意思で制御できる)が協力して調整しています。例えば、暑熱時には、血管が広がり、汗をかいて体温を下げます。反対に、寒冷時には血管の収縮・ふるえなどが生じて熱が産生され、体温を上げます。
自然治癒力は、けがや病気の際に、体を修復する機能です。免疫細胞がウイルスや細菌を見分けて闘い、回復を図ります。
簡単に言うと、恒常性は体の状態を安定させるための仕組みであり、自然治癒力は体が病気やけがを治す力です。どちらも健康を維持するために重要な役割を果たしています。
薬の効果は、治療薬の効果(治療効果)+自然治癒力+プラセボ効果(心理的な要因)によって発揮されると言われています。
松寿仙は、恒常性を保ち、自然治癒力を高める、滋養強壮の効果があります(参考:松寿仙の添付文書)。松寿仙は、アカマツ、クマザサ、薬用人参の3つの天然成分から作られていて、これらの成分が体のバランスを整え、自然治癒力を高める働きをします。そのため、病院などの治療薬を服用中であっても、併用することで、効果を発揮しやすくなるでしょう。
松寿仙は副作用が少なく、長期間服用しても安心な点も魅力です。
自然治癒力を高めるためには、バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動なども大切です。松寿仙は、これらの健康的な生活習慣を補う役割を果たしています。
けやき堂薬局にお越しになられたお客様でご希望の方に、温かい松寿仙をご用意しておもてなしをしています。店内では、松寿仙をウーロン茶で割っており、初めて飲む方も飲みやすいとおっしゃってくださいます。
赤ちゃんから、妊活中、妊娠中、授乳中、働き盛りの方、シニアの方まで、家族みんなが飲めます。
20年以上、我が家では義父、夫、小学生の息子、私で飲んでいます。(岡北)
冬季うつ対策 日常生活の工夫と食べ物
秋、冬の間中、日の短い時期になると、意欲が低下する、何事もおっくうに感じる、たくさん寝ているのに、眠気を強く感じるのなら、冬季うつの症状かもしれません。
冬季うつは、学術的に言いますと、「季節性感情障害」の一種です。日照時間が短くなることで、神経伝達物質のセロトニンの分泌が著しく減少することが大きな要因と考えられています。冬季うつは、意欲の低下、日中に強い眠気を感じる、食欲が増して、甘いものや炭水化物をたくさん食べたくなる症状が起こります。そして、春になると、これらの症状が消失するのが特徴と言われています。
東洋医学では、この冬季うつの症状は、気血の不足によるものと考えられています。気血を補うには、胃腸のデリケートな方は、まず脾胃(消化管の消化吸収機能)を良くして食べ物の栄養素が吸収できるように整えることが大切です。脾胃の働きを助ける食べ物に、白菜、しょうが、キャベツ、人参、みかん、紫蘇などがあります。
気血を補う食材は、しいたけ、エリンギ、鶏肉、山芋、なつめ、牡蠣、ぶり、鮭、さばなどです。冬季うつになるとは炭水化物や甘い食べ物にかたよった食事になりやすいので、野菜や肉や魚、卵、豆類などのタンパク質も努めてバランス良くとるようにしましょう。
西洋医学では、「高度光療法」が行われています。5000ルクス以上の人工の光を浴びる方法で板状の光の出る特殊な装置を用います。
日常生活の工夫として、日光浴がお勧めです。太陽の光を浴びる方法にはポイントがあります。それは光が目に届くようにすることです。日中、屋外で過ごす時は、太陽の光を直接見ないように、1分間に10-20秒明るい方に視線を向けます。1日30分間を目安にします。太陽の出ている時間なら、いつでも出来ます。(直接、太陽の光を直接見ると、目の組織が傷ついて視力が低下することなど起こるので直接見ないようにご注意ください。)
屋内で行うには、窓から1m以内の明るいところで30分間ほど過ごします。時々、視線を上に向けて目に光を届けるようにします。太陽の光が斜めに射す朝や夕方が良いと言われています。自律神経の働きを整えるために、ウオーキングやストレッチ、ラジオ体操など軽い運動を取り入れましょう。
また、体の保温をしましょう。東洋医学では、冬は腎(成長、発育、老化と深いかかわりがある)の季節といわれています。腎は寒さが苦手なため、体を冷やすことは、腎の弱りにつながり、様々な不調をもたらすことがあります。寒さのために、体を温める「陽の気(エネルギー、パワー)が消耗しやすい時期ですので、寒さなどの邪を発散させる食材や体を温める食材を摂ることがお勧めです。
発散作用がある辛みのもの、体を温める食材は、しょうが、ねぎ、にら、よもぎなどです。「腎」の精気(生命力に関わる基礎物質とパワーのこと)を補い、陽の気を高める食材に、羊肉、牛肉、ししゃも、にら、長ネギなどがあります。
(以上、参考資料 きょうの健康2024.11、2017.1、クラシエ Kampoful Life サイトより)
漢方、自然薬では、帰脾湯、紫華栄、安静錠などがあります。食事や生活の工夫を行ってもなかなか良くならない場合は、ご相談ください(要事前予約)(岡北)。
風邪のひきはじめの対策(けやき堂流)
風邪のひきはじめの対策に、風治散(ふうじさん;葛根湯、第2類医薬品)、紫華栄(しかろん;滋養強壮、第3類医薬品)、板藍根原末(ばんらんこん)など、3日分以上を自宅持っておくことをお勧めしています。
『風邪かもしれないな、変だな』と思った時に、すぐに取り出して、飲みます。病状が進行することを食い止めるため、すぐ対処することが大事です。ゾクゾクと寒気のする時や節々の関節の痛みがある時、風治散と紫華栄を飲みます。
風邪かもしれないと思った時にすぐのタイミングで飲むことと、それらのお薬を白湯(又は松寿仙のお茶)に溶かして、ゆっくりと飲むことが効かせるコツ。体が温まり、風邪のウイルスや細菌を体の外へ発散させることを目標にしています。寒気が治まったら、風治散を飲むことを終わりにして良いです。その後は、紫華栄を継続して飲みましょう。
風治散の構成は、「葛根湯(かっこんとう)」です。葛根湯の原典(傷寒論;中国医学の教科書)に記されている製法で製造されています。また、エキスを顆粒(粉)にする際、最小限の添加物(でんぷんのみ)を使用しているためさっとお湯に溶けます。お湯や水がなければ、粉のままなめても良し、です。
新薬(西洋薬)の風邪薬と比べて胃弱な方にも胃の不調が現れにくいです。以前、自然薬研究会(自然薬・漢方薬の研究会、自然治癒力の向上と健康寿命の延伸を基本理念にしている)で、大手メーカーが製造している葛根湯2種、風治散を別々にして湯飲みに入れた後、白湯に溶いて溶ける(崩壊する)スピードと、味・香りを比較したことがあります。白湯を入れた後、顆粒が見えなくなるまでの時間が最も短く、味と香りも豊かなのが、風治散でした。溶けるまでの時間を計ったところ、結果は風治散で20秒、他社の葛根湯で3分05秒でした。風治散は、“香りが良い“ことと、”すぐに溶ける“ことで効果が出やすいのだと考えています。お客様の立場に立って作られているお薬です。
紫華栄は、滋養強壮作用があります。生薬「紫根(しこん;ムラサキ)」が入っています。紫雲膏(しうんこう)に入っている、紫色をした生薬です。持病が悪化しやすい時、虚弱で抵抗力がない時、病後の後の体力の低下時、元気になりたい時などに。紫華栄と他の漢方薬とで同時に飲むことも出来ます。1992年~発売されて30年以上たちます。小さなお子様~シニアの方まで、ワンちゃん、ネコちゃんなどのペットにも良いです。長年愛飲されてきているのは、安全性と有効性の証でしょう。我が家の家族も、お気に入りで飲んでいます。(岡北)



秋から冬にかけての健康管理 気圧の変動について
店頭で、来店されるお客様と話をしていて、真冬と比べて、秋から冬にかけての体調管理が苦手だとおっしゃる方は多いように思います。
秋から冬、冬から春など季節の変わり目や気圧の変化する時に起こる心身の不調は、気象病と言われています。気象病は西洋医学の正式な病名ではなく、症状の名称で、自律神経の乱れで起こるそうです。具体的には、めまい、耳鳴り、頭痛、肩こり、神経痛、憂うつ感、不安感などです。
耳の奥にある内耳は、常にリンパ液で満たされていて、体の平衡を感じ取る器官です。気象病はこの内耳にあるリンパ液が過剰に増えることが要因と言われています。また、内耳の中の気圧センサーが自律神経と連動をしていて、変化(ストレス)を脳に伝えることで頭痛や心の不調などさまざまな症状を引き起こします(気象病について 参考:書籍 ビジネスパーソンのための低気圧不調 医師 佐藤純 (著))。
東洋医学でみると、「気象病」は、体に余分な水が溜まっている「湿邪」によるものとしています。湿邪の影響を受けている時には、脾の運化作用(飲食物を消化吸収して体に必要なエネルギーを全身に運ぶ働き)も弱っていることが多いので、胃腸の調子を整えることも、予防につながります。また、水を溜めにくく、むくみにくい体をつくるため、血流を良くすることや、入浴時には、湯船に浸かることも大切です。適度に運動することを習慣にして、じわっと汗をかける体にしましょう。自律神経を整えるために、バランスの良い食事や充分な睡眠をとって規則正しい生活を心がけましょう。
特に秋から冬へ向かっている時は、首元、足首、手首を温めることなどをして、体を保温して過ごすことが大切だと考えています。
代表的な漢方薬として、五苓散、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯など、余分な水を取り除く作用のあるものを用います。気上錠(剤盛堂薬品・第2類医薬品)は、余分な水を取り除く生薬(茯苓、桂皮、白朮)と、脾胃を整える生薬(人参、黄柏)などが配合されています。胃腸を整えながら、体の水はけを良くしていくので、胃腸が弱っている時にも、良いお薬です。症状の軽いうちに服用すると、回復が早いです。
けやき堂では、個別に健康相談を承っています。季節の変わり目や気圧の変化、体の冷えなどでお困りの症状についてのご相談、選薬など、事前にご予約ください。当日のご予約が可能なこともありますので、電話でまず空き状況をお尋ねください。(岡北)
腎機能を良くする漢方と、食べ物について
数年前と比較すると、病院・医院で受けた血液検査結果を当店へお持ちになり、腎機能の数字について質問を受けることが増えてきました。「(低下している)腎機能を良くするにはどんな漢方がお勧めですか?」「何を食べたら良くなりますか?」というお問い合わせです。
また、肝臓と腎臓は解毒や老廃物の排泄に関わる臓器で互いに連携をしているので、肝機能が悪い人は腎臓も悪くなることが多いと言われています(記事 日経メディカル Aナーシング レバウェル看護「教えて!看護技術Q&A」2020/03/30より) 。
腎機能が低下している方には、肝臓の働きなど他の臓器の働きも低くなっていないか、血液検査の紙を持ってきてもらって、把握するようにしています。東洋医学で言う腎、肝と、西洋医学(現代医学)で言う腎臓、肝臓は、体の臓器の位置が近くにあり、機能が一部共通していますが、全く同じ機能があるわけではありません。
腎機能が低下した状態とは、一般社団法人 日本腎臓学会によると、血液検査の値などから算出したeGFRの値が60未満だと、腎機能が60%未満になっていると考えられるため、この状態が3か月以上続くと、慢性腎臓病と診断されます。
けやき堂薬局では、腎機能が低下している方向けに、透析前、透析中であっても安全に飲むことが出来て医学的裏付けのある漢方を選び、ご提案しています。漢方を飲むことで、食事制限と透析の開始時期を遅らせることを目標にしています。お客様の疾患は心臓の病気や生活習慣病など様々ですので、体質も組み合わせて選薬をしています。
例えば、ジョッキ錠(剤盛堂薬品・第3類医薬品)は、腎炎、ネフローゼ、肝機能障害などに適応がある近代的な漢方処方のお薬です。腎臓への負担を少なくする、利水作用のある生薬が配合されています。同時に生薬の力で肝臓の働きも整えます。比較的体力のある方に向いています。
食べ物について。むくみのある場合は、黒豆や小豆(あずき)などの豆類は、利水作用があります。黒豆や小豆は 平性(冷やしも温めもしない)ので、お勧めです。適度にお茶にして飲んだり、煮汁も含めて食べたりするといいです。
食生活で一番気を付けてほしいのが、ナトリウム(塩分)やタンパク質を摂り過ぎないことです。
また、腎機能が低くなっても、タンパク質やカリウム(野菜や果物に多く含まれる)の摂取量を自己判断で減らさないことも大切です。それらは体にとって必要な栄養素です。健康を長く維持するため、バランスの良い食事を心がけましょう。
個々のお体に合う漢方や食事や生活養生法(セルフケア法)については、漢方専門の薬剤師、登録販売者へのご相談をお勧めします。
けやき堂薬局では、初回カウンセリングにて選薬を行っています。ご希望の方はお手数をおかけしますが、電話にてご予約をお願いいたします。(岡北)
参考書籍・資料 日経メディカル Aナーシング レバウェル看護「教えて!看護技術Q&A」2020/03/30、一般社団法人 日本腎臓学会ホームページ、薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖 喩靜・植木ももこ(監修)
公開日:2024年10月2日
山岡先生の講演会
8月25日(日)に、大阪市内で、自然薬研究会主催の講演会がありました。講師は、松山記念病院 医師 山岡傳一郎先生で、演題は「フレイルとは何か?フレイルがもたらす健康寿命と心の健康」でした。
山岡先生は、月刊誌「主治医」でコラム【こころと身体の癒し方】を担当し、連載しています。内科と漢方内科が専門、特にお灸に詳しく、定年退職後、松山記念病院の精神科の医師として在籍中です。
フレイルは、老年医学会の提唱で、「心身のストレスに対して脆弱で、元の生活機能に戻りにくい状態像」を言います。戻りにくいが、健康に戻る可能性があるそうです。フレイル⇔要介護になってから気が付いて手当をすることよりも、健康⇔フレイルの段階で早めに気が付いて対策したほうが早く治せます、などどお話しされました。未病の考え方についても言及されました。知性ともにお優しい人柄を感じました。
また、日本産の生薬を増やして生薬の自給率を上げることが夢だそうです。「主治医」のコラムをきっかけに森林関係の組合から声がかかり、黄柏の栽培を広げる構想が上がっていることもお話されていました。
夏から秋の健康管理 熱中症、水の摂り方、お勧め漢方
冬に起こる不調の対策は、夏の間に養生しておくことが大切です。東洋医学では、「冬病夏治」という考え方があります。
そして、涼しくなるまでは脳梗塞と熱中症に注意です。体の外から暑邪(暑さが原因の邪気)と湿邪(湿っぽい気候による邪気)により、のぼせやほてりが出たり、体が重だるくなったりします。
こもった熱を取る食材は、なす、トマト、きゅうり、にがうり、とうがんなどがあります。陰(体の潤いのもと)を補い、体を潤す食材は、しじみ、パイナップル、なし、はちみつ、れんこんなどです。キュウリなどのウリ類は、体を潤しながら、余分な水を取り除く働きがあります。秋は、空気が乾燥するので、体を潤す食材を今から少しずつ取り入れていくと良いです。
汗をかいて脱水状態になると、血液の粘度が上がります。血管の傷んでいる部分で血液が固まって脳梗塞になりやすくなると考えられています。
医療施設では特に高齢の方に対し、脱水症予防のため水分摂取をするように勧めています。高齢になると、口渇中枢機能の低下や、筋肉量の減少で、のどの渇きに気が付かないことや、水分を蓄える機能が低下するからです。
ただし、水の摂取量が多いほど脳梗塞を予防できるという医学的な裏付けは、現時点で出ていないです。水の過剰な摂取で、むくみ、夜間頻尿、心臓へ負担を増すなどの要因になるといわれています。ですので、こまめなちびちび飲みをお勧めします。
体の血管を全部つなぐと10万キロメートルの長さになると言われ、それは地球二回り半の長さに相当します。血管のうちの99%は、毛細血管が占めています。毛細血管の太さは、髪の毛の太さの1/10くらいです。そんな細い毛細血管は、血管を拡張したり、収縮したりして体温調節をする役目もあります。
愛媛大学医学部附属病院の抗加齢・予防医療センター長、伊賀瀬道也氏によると、「20代、30代と70代を比較すると毛細血管の量が少なくなっている」と伝えています。また、日経Gooday(WEB)2019.12.1では「若者に比べ、高齢者では加齢や生活習慣などにより毛細血管が傷んで機能しなくなる、という記事もあります。40%の毛細血管が機能しなくなっている」と伝えています。高齢の方の熱中症のリスクが高い理由がここにもあります。適切な水分補給と血流対策が、脳梗塞と熱中症対策のポイントです。
夏からの疲れの予防と改善には、「ササイサン」・「紫華栄」を1日1-3回飲むのがお勧め。
熱中症や脱水症の予防と改善、体力の回復には「生脈散(しょうみゃくさん)」があります。生脈散には体を潤す作用があり、肺の機能丈夫にする働きもあります。
水の摂り過ぎや冷たい飲食物による胃腸の不調には、カッコーサン(藿香正気散:かっこうしょうきさん)。体を適度に温めながら、余分な水を体外に出す働きがあります。(岡北)
参考書籍、資料
NHKきょうの健康 2016年8月号
日経Gooday(WEB)2019.12.1
血管をピチピチに若返らせる本 栗原毅(著)